会長挨拶
- 第32回日本小切開・鏡視外科学会
- 会長 鳥 正幸
- 大阪警察病院 内分泌外科 部長
兵庫医科大学 臨床教育教授
この度、2019年6月28日(金)・29日(土)に、第32回日本小切開・鏡視外科学会を、大阪国際会議場(大阪府大阪市)において開催致すことになり大変光栄に存じます。
本学会の歴史は古く、前身の「吊り上げ法手術研究会」と「ミニラパ研究会」が統合しNPO法人として今日に至っております。設立の目的は、開腹手術で確立された安全な手技を損なわない小切開と内視鏡外科手術の確立と普及です。
近年「内視鏡外科」はめざましく発達し、ロボット手術やAIを導入する時代になりました。一方でその限界も見えつつあります。やはり人智に勝る神の領域は手術にはないのかもしれません。整容性以外に、本来手術に求められる根治性や安全性を考慮すると、内視鏡手術・腹腔鏡手術を極めても到達できない領域があり、そこには従来の開腹手術や小切開手術のノウハウが求められるかも知れません。自らが手術を受ける側になった時のことを想定すれば自明なように、最善の結果を生み出す最高の手術が求められることはいつの時代にも変わらない原点です。そこで、今回のテーマを“Top knifeを目指す「超」内視鏡・腹腔鏡手術への装備”と致しました。
「かつてこんな学会があったであろうか!?」
本学会ではご参加の皆様がそう思って戴ける内容を目指しています。これからの外科を担う志のある先生方の立場で「内視鏡・腹腔鏡手術の限界を超えた手術手技の高みを目指すことと、それを学術的な場で表現することでアイデンティティーをえる」ための研鑚と情報交換の場になればbest、と考えております。そのために以下のコンセプトを掲げました。
- 今一度ピュア内視鏡・腹腔鏡手術の技を知る:最高の技術や到達点を知ることでしかその限界がわからない。今一度ピュア内視鏡・腹腔鏡手術の技を知る。
- Only oneの手技を磨く:革新的なことからささやかな工夫に至るまでオリジナリティーを生み出す意欲がイノベーションとなりそれを世界に発信する。
- 安全で確実なSolo-surgeryの展開:外科医が不足する状況で、少人数手術を強いられることも多い現状で同様なレベルを維持ずるための工夫とは何か?
- 学術発表としての臨床研究・医学英語:仕事の集大成はそれを形として永久に残し共有することで完結します。そのためのツールとしての研究力・英語力の向上が必要です。
手術手技においては、従来の手術に小切開、HALS、内視鏡外科手術、送気、気腹、吊り上げ法をたくみに使い分け、あるいは組み合わせて疾患病態により、調和のとれた手術が望まれます。一方、「神の手」の外科医がいたとしても他の外科医を含めた「チーム連携」なくして最良の医療はありえません。麻酔科医、看護師、臨床検査技師、薬剤科などの医療スタッフによる役割分担、また周術期管理においては共通の認識で栄養科、リハビリテーション科などの多職種のサポートも患者主役の安全確実な医療には不可欠です。
こうしたコンセプトは外科領域(消化器・呼吸器・内分泌・小児外科など)のみならず、産婦人科や泌尿器科等にも広く理解が進んでいると感じられます。ご発表においては、上記コンセプトをご参考に、通常内視鏡・腹腔鏡手術に関するもの、周術期・術後管理を含めた幅広い内容で広く演題を募集するものです。
ランチオンセミナー、イブニングセミナー、教育講演で各領域をリードする先生方を招聘させていただく一方、伝統文化とエンターテインメントの街「関西(大阪)」に相応しい企画も準備することで、「学会に参加して良かった」と思えるような充実した内容にしたいと考えております。
演題募集期間につきましては、2019年1月7日(月)~4月12日(金)を予定させて頂いております。多数の演題ご応募と当日のご来場をお待ちしております。開催に際しては是非とも温かいご支援を賜りますようお願い申し上げ、ご挨拶とさせて頂きます。