第29回学術集会当日の様子
第29回日本小切開・鏡視外科学会は昨日、多くの方々の支えとご参加の皆様の熱心な討論によりまして、無事に終わりました。関係のみなみなさまに、心から、心から感謝申し上げます。
プログラム内容
教育公演 | |
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演題 | 「内視鏡下胸腺切除術の変遷と安全な手術手技の確立」 |
座長 | 岩﨑正之(東海大学医学部外科学系呼吸器外科学) |
演者 | 城戸哲夫(思温クリニック呼吸器外科) |
■城戸哲夫(思温クリニック呼吸器外科)
講演内容
胸骨吊り上げ併用内視鏡下胸腺切除術(本法)を施行し20年が経過した。安全な手術への移行は本法のインシデントの検証と反省によって成されてきた。1997年本法を重症筋無力症(MG)の拡大胸腺摘出に用いた。仰臥位で頸部と胸骨下に3cmの皮膚切開を加え、頸部から直視で胸腺上極を剥離、胸骨下の縦隔アプローチ単孔法で施行した。2000年胸腺腫にも適応し胸腔鏡下手術(VATS)を基本術型としMG合併例は本法を併用した。胸腺腫瘍の右VATS時に左無名静脈を損傷、胸骨縦切開で止血。大腿静脈からの急速輸血でショックより回復。2001年小児MG 2例で右反回神経不全麻痺を経験し頸部切開を加えない胸骨下完全内視鏡下単孔法へ移行。胸腺腫の右VATSで腫瘍剥離を先行し左無名静脈を損傷、胸骨縦切開で止血。胸腺腫瘍手術時は左無名静脈周囲剥離を先行。胸腺腫右VATS時超音波メスのcavitationで胸腺静脈を損傷したため超音波メスから新デバイスへ変更。成人MGで左横隔神経を損傷、術後に軽度の労作時呼吸苦が残存。成人MGで右横隔神経を損傷、胸摘後VATSで右横隔膜縫縮術を追加。術後労作時の呼吸苦はない。経年の偶発症を経験し現在の安全装備と術式に至っている。最近の胸腺腫VATS手術海外死亡例をご遺族の承諾を得て報告する。安全を最重要視、担保することが手術目的の根源である。とご講演いただきました。