ご挨拶

森川 文博(三重県産科婦人科医会前会長)

「第8回 母と子のメンタルヘルスフォーラム」を令和5年(2023年)6月4日(日)に、三重県四日市駅前の都ホテル四日市で開催させて頂くこととなりました。

日本は、医療の面では世界で最も安全に出産できる国のひとつであるにもかかわらず、出生数は減少の一途をたどっており、妊産婦の自殺や乳幼児虐待が大きな社会問題となっています。加えて、新型コロナウイルス感染症の流行によって、イベントやサークル活動は中止、友人との交流も制限され、離れて暮らす家族との行き来もできない状況が続きました。感染対策として、産科医療施設では入院中の面会制限や立会い分娩の中止の措置がとられ、自身や家族の感染のために出産場所が急に変更になったり、里帰り分娩ができなくなったりと、人との繋がりが絶たれ、孤独感や大きな不安を抱えながら出産に臨む妊婦が増えています。

このような状況で出産を迎える妊産婦とその家族を支えたいという思いを込めて、今回のテーマを『今だからこそ、心に寄り添う「親子支援」』と致しました。精神的な問題を有する妊産婦だけでなく、まさに全ての妊産婦にメンタルケアの必要がある時代です。三重県では2007年から「みえ出産前後からの親子支援事業」を実施しております。この事業は、産婦人科医と小児科医が連携し、育児不安を持つ妊産婦に、小児科医から育児に関する保健相談や育児指導を無料で行い、妊娠から育児まで総合的で一貫した育児支援を提供することを目的としています。さらに、精神科病院とも連携できるシステムになっておりますので、三重県のこの取り組みについて本フォーラム内でご紹介させて頂きます。

また、産婦健康診査事業において、全ての産婦を対象にエジンバラ産後うつ病質問票(EPDS)を実施することとなりましたが、正しい評価と適切な対応がなされてこそ意義があります。ランチョンセミナーでは「EPDS活用ガイド」の著者である宗田聡先生にお話し頂けることになっております。

基調講演は周産期精神医学の専門家である山下洋先生、教育講演は周産期メンタルヘルス学会理事長の鈴木利人先生にお願いしており、メンタルヘルスに関する全体像が深く学べることと思います。シンポジウムでは、周産期メンタルヘルスに特化した本邦初の大学講座を開設された村上寛先生からもお話をいただきます。三重県の現状については、紀平正道産婦人科医会会長、三重大学周産母子センター師長、三重県子ども・福祉部の西崎水泉様、小児科医の落合仁先生、三重中央医療センターの産婦人科前川有香先生、同センターの社会福祉士とともに、メンタルヘルスを取り巻く現状と課題について討論を行います。
皆様と一緒に学びを深めることができると大変楽しみにしております。

本フォーラムは現地開催とオンラインによるハイブリッド開催の予定です。会場にお越し頂けない方も視聴可能ですので、多くの皆様のご参加をお待ち申し上げております。

第8回 母と子のメンタルヘルスフォーラム
大会会長 森川 文博
(三重県産科婦人科医会前会長)
第8回 母と子のメンタルヘルスフォーラム in 三重 ポスター