会長挨拶
ご挨拶
この度、2022年8月28日に開催される第13回関東産婦人科乳腺医学会を担当させていただき大変光栄に存じます。
乳腺診療について改めて考えるとき、まず思い出されるのは、帝京大学医学部産婦人科初代教授の(故)荒井清先生の言葉です。先生は「産婦人科でも乳房を見なければ。日本の産婦人科医は乳腺を置いてきてしまった。みんなで学んでほしい。」と話され、我が国の産婦人科における系統的な乳がん及び良性疾患診療の礎を築かれました。
日本では、以前から外科医が中心になって乳房の診察をしており、現在でもそれは変わっていません。乳腺の生理的機能だけでなく、症状について関与すべき点は多く、産婦人科医が積極的に診察を行う必要を感じておりました。
実際に乳腺外来の診察を産婦人科で行うと若い人たちの乳房のしこり等様々なトラブルに遭遇します。妊娠出産のときの診察でも多種多様な乳房の心配事の相談があります。診察を進めていくと、外科で直接診察するよりも産婦人科で診察を希望する方が多く見受けられます。そのため、産婦人科と外科が協力しあい、放射線科、内科、各科連携をし、産婦人科医と外科医、助産師、看護師、放射線技師が力を合わせ診察することの重要性を再認識しております。
乳腺専門医がこれらすべての患者様を診るのではなく、産婦人科医も検診を行い、放射線技師、助産師、看護師も参加する。そのうち何らかの疑いの高い患者様を乳腺専門医が診るようなシステムを構築することが出来れば、それぞれにとって患者様に対してのより良い医療を提供することが出来るのではないでしょうか。このことが日本女性罹患率トップでさらに増加している乳がんの早期発見にもつながるのではないかと考えられます。
昨年度関根憲先生が会長を務められた学会は画像診断を中心に開催され、普段の診察にすぐに活用できる素晴らしい講演が多くありました。今年はさらに画像診断だけでなく、遺伝性の乳癌疾患についての講演や助産師、看護師、放射線技師等のコメディカルの方にもご興味のある講演を予定しております。医師、コメディカルの連携強化も含め、未来の診療につながる発展させた学会を目指していきたいと考えております。
多数の皆様のご参加をお待ちしております。
- 第13回 関東産婦人科乳腺医学会
- 会長 瀬戸 裕 (医療法人慈桜会瀬戸病院 理事長)